有料老人ホームや老人介護用住宅と比べて、比較的費用負担の少ない軽費老人ホームには、老人ホームA型、B型、ケアハウス(C型)の3種類があります。
ケアハウスは1990年に新設された施設で全室が個室で、施設内は全てバリアフリー構造で車椅子の利用者も不自由することなく過ごすことができます。
ケアハウス、A型、B型の軽費老人ホームとは家庭での日常生活に近い環境を提供し、最低限の生活支援サービスを受けながら自立した生活を送ることができます。
ケアハウスは自立して生活するのに不安のある高齢者向けのサービスです。食事のサービスも提供されますし、重度の要介護度になっても入居し続けることができます。介護型と一般型に分かれています。
身寄りがないことが入居条件でもありますので、生活相談や入所準備などのサービスを受けることもできます。
このページの目次
ケアハウス(C型)の特徴
暮らしていくための最低限の生活支援サービスを受ける事ができます。食事の提供が大きなサービスの役割ですので1日3食、高齢者に適した食事の提供があります。
比較的低料金で利用できるケアハウスですが、入居一時金や家賃の費用負担がありますのである程度の経済力が必要なのですが、所得が多いからといって入居できないことはありません。
入居後に介護が必要となった場合は在宅している場合と同様に、個人で居宅介護支援自供者と契約して訪問介護を受けながら入所し続けることが可能ですが、認知症などで他の入居者との共同生活ができなくなると退所させられる場合があります。
飲酒なども基本的には可能ですが、酒癖が悪いなど他の利用者に迷惑をかけるような行為を行う場合は退去を要請させます。また、入居一時金は居住した年数を差し引いて戻ってくるので、比較的元気な人は全国のケアハウスを巡る人もいます。
共有のスペースがあり、他の入居者とのコミュニケーションは盛んです。
軽費老人ホームA型とB型
軽費老人ホームA型、軽費老人ホームB型共に、老人福祉法による老人福祉施設です。家庭の事情などで家族との同居ができないことが入所の条件です。
A型は食事の提供が必要に応じてあるのですが、B型は基本的には自炊です。
入所の条件は60歳以上の個人、または配偶者のどちらかが60歳以上ですが、家庭や家族の事情で自宅で過ごすことができない人でかつ所得制限がある自治体もありますので、入居したい場合は調べておく必要があります。
個人の所得によって月額の利用料も異なります。本来弱者救済のために国が整備をした施設なので原則としては入所一時金や敷金、礼金、家賃などはかかりませんが光熱費、職員の人件費や管理費は必要です。
入居後に介護が必要になった場合は、在宅介護と同じ条件で、個人で居宅介護支援事業者に訪問介護を受ける形式をとりますが、認知症などで他の入所者に影響が出た場合などは退所させられる場合もあります。
費用は年間の所得が150万円以下である場合、月の利用料が5万円ほどです。
ケアハウスの入所基準
ケアハウス(C型)には一般型と介護型がありますが、一般型のケアハウスの入所基準は60歳以上の高齢者、または夫婦のどちらかが60歳以上で家族や家庭の事情に在宅では自立した生活を送ることが困難であることが条件です。
介護型は要介護度が1以上で65歳以上の高齢者であることです。
利用者が身の回りの世話ができることと身寄りがないこと、共同生活に適応できることが条件の地域や地自治体もありますので詳細は施設に直接問い合わせてみるほうがよいでしょう。
介護型は軽度の認知症には対応していますが、施設に生活する他の利用者に影響する状態になってくると退所を求められる場合があります。
収入や資産が少ないと優先して入居でき、終身利用が可能な施設もあります。
ケアハウスでのサービス内容
ケアハウスは基本的に60歳以上の独立した生活に不安のある高齢者が介護スタッフに見守りにより、できるだけ自立した生活を送る目的で作られた施設です。
食事や掃除、洗濯など身の回りの生活援助を提供するのが一般型で、その他、特定施設入居者生活介護の指定を受けて重度の要介護者を受け入れて、身の回りの介助、入浴、食事の介護、機能訓練や医療的ケアを提供する介護型があります。
身体機能の回復や医学的ケア(経管栄養やカテーテル)は大型の介護老人保健施設などと比べると期待できません。
入居者の外出や通院の付き添いなどは施設によってサービスが異なります。娯楽であるアクティビティやイベント活動なども施設により違います。
ケアハウスの利用料
ケアハウス(C型)の利用料は居住費として家賃、共益費、光熱水道費、食費が含まれます。A型、B型は入居に際して入居一時金は必要ありませんが、ケアハウスの場合、入居一時金や保証金などが必要になる施設もあります。
年収が一定以下であるなどの条件をクリアすれば自治体から補助金や助成金などを受ける事ができますので利用したい場合は聞いてみましょう。
入居一時金などの初期費用はかなり高額で、一般型は30万円ほど、介護型は数十万円から数百万円かかるところもあります。一般型と介護型では月額利用料も違いますが、介護型の場合、ひと月で10万円ほどから20万円ほど、一般型が月額7万円から13万円ほどとなります。
また、入所時は一般型に入所していた利用者が介護保険制度の要介護認定をうけて介護サービスを受けることになった場合、利用料は自己負担割合が1割となり、介護サービスを行う外部の介護事業者などと契約を交わしサービスを受けることになります。
介護型の場合、一定の自己負担額で日常生活を送る上での介護を受けることが可能です。
ケアハウスの設備
ケアハウスでは入居者の居室は基本的に個室で、ミニキッチン、洗面所、トイレ、収納などがついているのでプライバシーを保ちながら安心した生活を送ることができるものです。
ユニット型個室が多いので、浴室やリビングルーム、食堂などは共有スペースで、入居者同士が交流できる環境になっている施設も多いです。
しかし、大きな都市などはケアハウスが不足しており、定員が20名以下の小規模なケアハウスが増えています。このようなケアハウスでは施設の面積も狭く、4.5畳ほどの個室と共有スペースのタイプのケアハウスが増えています。
ケアハウスは独り暮らしが基本の個室が多いのですが、事情があり夫婦で入居する場合には夫婦で入居できる居室を備え付けている施設もあります。
高齢者が安心して暮らせるように各設備はバリアフリー仕様であるケアハウスがほとんどです。また、安全性を確保するために各居室に緊急通報システムが設置されています。
ケアハウスへ入所するには?
ケアハウスに入所希望の場合は、各ケアハウスへの申し込みをします。その際、入居申込書を提出し、施設の担当者と面談をし、住民票、健康診断書、所得証明書を提出します。
面談と利用希望者の生活状況、要介護度、介護の必要性、家族構成、資産や収入額といったあらゆる方面から総合的に入居の可否を判断し入居の決定をされた場合、入居ができます。
ケアハウスは入所困難?
ケアハウスを含む軽費老人ホームは、設立、運営は自治体や社会福祉法人のみに従来は許されていましたが、法の緩和により介護型ケアハウス事業への参入が民間事業者にも認められるようになり、ケアハウスの定員、入居者が2000年ごろまで急増しました。
現在は老人ホームが多様化し、一定数確保されたことにより、施設の増設は減ったこともあり、多くの施設で入居が非常に難しいことがなくなってきました。
ケアハウスのメリット
ケアハウスは社会福祉法人や地方福祉法人や地方自治体、民間事業者などによって運営される福祉施設ですので利用料が他の介護老人施設よりも安いのは良い面です。
一般型では独立した生活に対する不安のある高齢者を、介護型では軽度から重度までの要介護高齢者を受け入れてくれます。一般型のケアハウスは介護が必要になると訪問介護や通所介護などの介護保険の在宅ケアサービスを受けることができます。
しかし、一般型は要介護度が上がり自立状態にないとみなされると退所するように言われる場合があります。一方、介護型は要介護度が上がってもケアハウスに住み続けられる場合が多いのがメリットです。初期費用の面では、一般型の方は比較的安く設定されています。
ケアハウスのデメリット
ケアハウスごとに施設の設備の面で差が大きいところです。
介護型は初期費用がかなり高額になります。
一般型ではスタッフは基本的に生活を見守るスタンスですので介護面や医療面でのサービスはあまり期待はできません。終身利用ができる施設もありますが、退去を要請された場合を想定して次の住処を考えておく必要もあります。
介護付きケアハウス
ケアハウス(C型)は基本的に自立した生活が送ることができる人を対象にした施設でしたが、最近では介護保険が適応されてから要介護1以上の人が入居できる介護型のケアハウスが増えつつあります。
介護型のケアハウスは特別養護老人施設と同様に要介護の利用者3人に対して介護スタッフが1人配置されますのでほぼ同様のサービス水準を提供できますので非常に人気で入居希望者が多いです。
ケアハウスの動向
最新のケアハウスは利用者それぞれの部屋にトイレやミニキッチンなどがついていたり、共同の施設であるリビングやトイレ、浴室などの施設も入居者の側に立った使い勝手の良い設備になっているところが増えてきました。
高齢化が進むなか、都市型の軽費老人ホームも増設されます。設備や運営基準の改正もあり、施設利用者の定員も20人以下に引き下げられ、居室面積も以前よりも引き下げられました。
これにより、小規模の軽費老人ホームがますます増えていくことが予想されます。利用料金が低額であるA型、B型の老人ホームは減少傾向にあります。
ケアハウスを選ぶコツ
ケアハウスは各施設によって設備などに差が大きくある場合が多いので、できれば実際に見学に行った方がよいでしょう。遠方でなかなか行けない場合などはパンフレットなどを複数取り寄せて比較してみましょう。
初期費用がかからないところから、数百万円かかるところもありますし、細かいサービスを売りにしている施設もあります。実際に見学できた場合は、できるだけ入所者の居室も見せてもらうと実際のイメージが湧きやすいです。
要介護度が1以上であることが入所の条件ですが、要介護度が重くなると退去を要請される場合があります。
入所希望の施設の実態としてどのような状態まで入所できるのかをよく考えて選ぶ必要があります。退去する場合も、ケアハウスによっては次の施設を親身に探してくれるところもあれば、放置される施設もあります。
看取りはしない施設も多いので、入居する場合は利用者がどのような状態でどの施設に入るのかを長期展望としてある程度考えておく必要があります。
ケアハウスを利用する多くの人は、要介護度2~3くらいまではケアハウスで生活し、その後、病状などによって病院に入る場合、特別養護老人施設、介護付き有料老人ホームに転居する場合が多いです。
病院へ数ヶ月入院した場合は、その間にケアハウスからの退去を要請される場合もありますのでそのあたりの実状も調べておきましょう。
ケアハウスから看取りまで
はじめはケアハウスの一般型に入所しても歳を取るにしたがって徐々に要介護度が増してきて、介護保険を利用してケアハウスにいながら在宅介護を受ける人が多いのですが、病状が悪くなった場合は病院に入院します。
入院して数日、数ヶ月で亡くなるか、病院から退院してもケアハウスに戻らずに老人保健施設で数ヶ月入所しながら特別療養老人施設の入所の順番待ちをして入所するのが一般的な流れです。