介護予防で閉じこもり防ぐ!高齢者の閉じこもりの原因と5つの予防法

閉じこもり予防高齢になると体も心も少しずつ変化します。運動機能が低下してきたり、視覚、聴覚、臭覚、味覚なども低下します。体に色々な疾患を抱えている人も多いですし、反射神経が鈍ったり、頻尿になったり、物忘れがひどくなったり・・・と昔の自分に比べてできなくなってくることが多くなります。

これは誰しも高齢者になると起こる自然な現象ばかりなのですが、今まで何でも自分でできたことが出来なくなるということが高齢者には大きな不安に変ります。

このようなことから急に家に閉じこもってしまう高齢者は少なくありません。閉じこもりが長期間続くと、介護予防の面からも色々なマイナス面が出てきます。

出来るだけ元気でいきいきした高齢者でいてもらうために、周りが出来ることもたくさんあります。家族が高齢者の閉じこもりの原因やデメリットを理解し、なるべく早いうちから予防をしていきましょう。

閉じこもりとは

今まで高齢者の閉じこもりに定義はありませんでしたが、最近では、寝たきりでもないのに家からほとんど出ず、外出の頻度が週に一回または、まったく外出しない状態を言うことが多いです。

よく似た言葉に引きこもりというものがありますが、引きこもりは思春期前後から40代あたりの人が学校や仕事に行かない状態を言います。

高齢者の閉じこもりの原因には「うつ」「認知症」「運動機能低下」「口腔機能低下」などがある場合が多いのが特徴です。

高齢者の脳とコミュニケーション

高齢者になると、脳が老化するので認知機能が低下します。そのため、問題処理能力や反応の速さ、記銘力(きめいりょく)などが低下しやすいのですが、知識力や理念は保たれている人が多いのが特徴です。

また、物事を論理的に考えるよりも、印象などで判断する場合が多くなります。

コミュニケーションの面では、話言葉の流暢さがなくなり、話をしていても話がずれていったり、何度も同じ話を繰り返します。

高齢者の特徴ですが、こういったことを周りが理解していないと徐々に高齢者と社会とのコミュニケーションを奪うことになります。

高齢者のこころ

高齢者は自分が向かう高齢独特の体の変化や社会との関わりの変化によって、ある人は自信喪失になったり、愚痴っぽくなったり、心配性になったり、不安症になったり、人のせいにしたりと弱気になり、急に人に頼ったり、孤独感が増して誰も信用できないので孤立したりします。

また、逆に自己中心的な考え方がひどくなったり、短気になったり、新しいものを受け入れられなくなったり、昔にこだわったり、自分の価値観を押し付け、でしゃばり、人に命令したり、突然怒り出したりと強気な面がはっきり現れることが多くなります。

このような変化はもともとその人が持つ性格ではなく、高齢ゆえの変化であるこということを周りが理解しておかないとますます高齢者は孤立し、閉じこもりがひどくなります。

閉じこもりの原因

閉じこもりになる原因は様々です。老化によって高齢者自身の体力が低下したり、疾患などがあって外出が自由に出来なくなったという場合が多いのです。

その他、認知機能の低下や以前転倒した経験のある高齢者などは、転ぶことを回避するために家にいるという人もいます。散歩や運動の意識の低い人も家に閉じこもりがちです。

また、今まで仲良くしていた友人がなくなったことで気分が落ちこんで家から出なくなったり、楽しめる生きがいがなかたり、うつ傾向にある人も閉じこもりになります。

男性に多いのですが、会社を退職したことを機にめったに外出しなくなったという人や家庭内に役割がないという人、友人がいないという人も危険です。

家族がいる人などは、特に高齢者が外出しなくても問題なく生活が成り立つ場合もあります。独り暮らしでも最近は食事の宅配サービスなどがありますので、全く外出する必要もなく生活できてしまいます。

体は元気だけれども耳が遠いということで、回りの人とコミュニケーションが取れないため外出しないという人もいます。社会と関わらず生活できたり、社会と関わることが面白くない、面倒であると考え出すと閉じこもりになりがちです。閉じこもりは高齢者自身が選択してそのような社会と関わらない生活をしている場合が多いのです。

家族としても、閉じこもりは病気ではありませんので、ついつい高齢者がおとなしく家にいてくれるのを良しとする人がいますが、閉じこもりが長期間続くと大きなリスクが発生します。

閉じこもりのリスク

地域によって差もありますが、高齢者のうち1~2割の方が週一回未満の外出といういわゆる「閉じこもり」にあるというデータもあります。

ある自治体の調査ではその閉じこもりの高齢者のうち3割の方が1年後に寝たきりになるという報告もあります。

最初は閉じこもりがちであったのが、完全な閉じこもりになり、家にいる間に気づいたら、要支援、要介護になっていて、死亡したという割合が、閉じこもりでない高齢者に比べて高いのが現状です。もはや閉じこもりが高齢者の健康に及ぼす影響は無視できません。

うつと閉じこもり

うつになると、気分がしずんで、何かと不安になったり、誰とも関わりたくないと思います。うつなので外出は好まず、家に閉じこもり、じっとしていたり、家族とも話しもしないという生活を続けていると、閉じこもりの原因となります。

逆に何らかの原因で長期間家に閉じこもりになっていること、人や社会との交流がなくなり、会話やコミュニケーションをしないと、どんどん気分が落ち込んできてうつ傾向になるという人もいます。

閉じこもりとうつは相互関係にあります。

認知症と閉じこもり

認知症であると、その家族は徘徊して行方不明になったり、周りに迷惑をかけるなどの心配があるためなかなか外出させようとしません。出来る限り目の届く家でずっといるように家族が管理している場合があります。

また、反対にもともと認知症でない人でも社会と積極的に関わっていこうとせず、家に閉じこもりがちな人は認知症になり易いというデータもあります。

認知症から閉じこもりになったり、閉じこもりがちな生活が認知症を発生させるということです。

運動機能の低下と閉じこもり

運動機能が低下すると余程本人か周りが外出に意欲的でない限り家に閉じこもってしまいます。歩くことが辛くなってきたり、目が見えにくい、耳が聞こえにくい、トイレにもなかなか自分で行くことができないとなると外出することに自信がなくなってしまいます。

家族がいても体の不自由になってきた高齢者に長時間付き添うということは、なかなか実際は難しいものです。高齢者にしてみても家族に迷惑をかけたくないという気持ちから、外出したくても遠慮して言い出しにくいという気持ちもあります。

高齢者の外出が減ると家族は介助しなくても良いのですから一見負担は減りますが、運動機能が下がってきた高齢者を家に閉じ込めておくとどんどん運動機能が下がっていくので、状態が悪化していくパターンが多いのです。

低栄養と閉じこもり

高齢になるとどうしても食が細くなります。同居する家族がいる場合はまだいいのですが、これが独り暮らしとなると事態は深刻です。食事は本来楽しんで食べるものですが、独りでの食事はそれだけで食欲が落ちます

本人が栄養面やカロリー面を気にして食べていないと栄養が足りなくなったり、エネルギー不足になります。

このような栄養不足の状態を低栄養というのですが、低栄養の高齢者が増えています。

栄養がしっかり摂れていないので元気がでません。元気がないと外出をしませんので、運動機能がどんどん低下してくるのです。

運動機能が低下してくると運動を益々しなくなり、食欲もなく、気力もなくなり、家でじっと閉じこもりになるという、まさに悪循環に陥る危険性があります。

低栄養にならないためにも周りがしっかり、高齢者にバランスの良い食事を食べることの重要性を伝え、できるだけ外出して食事を自分で買ってきたり、調理したりしてもらうようにしましょう。

口腔機能の低下と閉じこもり

口腔機能が低下すると食事が食べられなくなりますし、発音しにくくなり話しづらくなります。楽しく食事が出来なかったり、人と上手く話せないということが心的なストレスとなって家に閉じこもりがちになります。

閉じこもりがちになると歯磨きなどのケアもだんだんおっくうになり、生活が雑になってきます。閉じこもりですので運動機能の向上も臨めません。

単なる口腔機能の低下と侮らず、口腔機能の低下を発見したらすぐに専門の歯科医に相談して改善しましょう。

早期発見、治療することにより閉じこもり危険を排除し、寝たきりの生活をできるだけいないで済むように心がけましょう。口腔機能の低下と閉じこもりも根深く繋がっています。

閉じこもり予防のための5つの習慣

外出できる高齢者が、じっと家にいる閉じこもりは介護予防の観点からも高齢者にマイナスに働きます。家にいるということは家族にとっては安心です。しかし、高齢者自身の社会とのかかわりや生きがいを奪っているという危険もあります。

独り暮らしの高齢者でも社会と関わることにおっくうになっている人は、放置しておいていいわけはありません。

自治体や高齢者のまわりの人が高齢者を見守りながら、閉じこもり予防の習慣を高齢者に知ってもらいましょう。

規則正しい生活リズムを作りましょう

毎日決まった時間に起きる、決まった時間に寝るということは非常に大切です。また、栄養のバランスの摂れた食事を3食きちんと食べることの重要性を知ってもらいましょう。

高齢者は不眠になりやすいのですが、出来るだけ質のよい睡眠を取るようにします。

家族がいるならば、一緒に会話をしながら食事をすると食欲も湧きます。できるだけ独りで食事を摂らないように心がけましょう。

体を動かしましょう

運動が苦手だという場合も、特別な運動は必要ありません。一日一回外に出て散歩したり、もっと元気な方はスポーツジムなどに通ってみるのも良いでしょう。

最近のスポーツジムは介護予防のための運動プログラムを用意しているところも多いので利用してみましょう。スポーツトレーナーが適切な運動が出来ているか教えてくれますし、はじめは独りでも徐々に友人が出来たり、顔見知りが出来て運動することが好きになるかもしれません。

持病のある方は無理せず自分が出来ることからスタートしましょう。また、水分補給などに充分気をつけて運動しましょう。

家事をしましょう

家の中で全く役割がないというものいけません。誰でも少しは出来ることがあるはずです。特に男性などははじめから自分には家事はできないと決め付けてしまって、全く動こうとしないという人もいます。

女性でも若いときは難なくできた家事が負担になったり、面倒になって家の中がどんどん散らかってしまうパターンもあります。自分の出来る範囲でいいので家事をすすんでしましょう。

洗濯や掃除などは運動機能向上に繋がりますし、料理はメニューを考えたり、買い物に行ったり、手先を使って調理したり、手順を考えながら作るので脳の活性化にも繋がります。

庭仕事や畑仕事が出来る環境にある人は季節ごとの野菜や花を作ると生きがいになりますし、道行く人とのコミュニケーションツールにもなりますのでお勧めです。

趣味をもちましょう

自分が大好きな興味のあることが1つあるだけで楽しく過ごせますし、仲間が出来て社会コミュニケーションが取りやすくなります。今までやりたかったことなどに挑戦する気持ちが大切です。

歳をとっても新しいことにチャレンジすると気持ちが若返ります。また、自分が出来ることを利用して社会貢献するのも閉じこもり予防には有効です。

例えば、歴史が好きな人ならば観光ボランティアをしたり、地域の子供の登下校を見守るボランティアをしたり、自分が今までしてきた仕事が生きるボランティアなどをしたり、町内会やコミュニティーの係りを担うというのも外出の機会が増えます。

色々な仕事を引き受けるということは何かと厄介なことや困難もあるとは思いますが、それこそが生きがいに繋がりますのでマイナス面ばかりをみないで積極的に参加してもらいましょう。

地域のサービスを受けましょう

元気な高齢者のための介護予防プログラムや、外出が困難な人に対する介護予防プログラムがほとんどの自治体で受けることができます。情報の入手が困難な人は自治体に問い合わせると良いでしょう。

外出が苦手だという人は訪問型のサービスを受けることでも社会との関わりを持つことにつながります。ヘルパーさんなどが部屋に来てくれるだけでも気分も変りますので是非利用しましょう。

なかなか外出しない男性を外出させるために自治体によってはカジノやパチンコなどを取り入れているところもあります。

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