デイケアサービスとは
自宅で暮らす高齢者や身体障害者などを日中の一定時間だけ専門の施設に通所し、専門職員がリハビリテーションを中心に日常生活の介護を行うサービスのことです。また、認知症や精神障害者の社会復帰を目的とし、日中に施設内で集団的な活動を行い治療する目的のデイケアサービスもあります。デイケアサービスの施設ではスタッフとして必ず医師が配置されており、医学的な管理が可能です。デイケアは医師の指示に基づき理学療法、作業療法を中心にリハビリテーションを行ういわば託老所です。
デイケアサービスの対象者は?
デイケアサービスの対象者は主に要介護1~5に認定された人、あるいは特定疾患が原因で介護を必要とする40歳から64歳の方です。要支援1.2の人は介護予防の観点でリハビリテーションが必要と認められた人が対象です。非該当に認定された人は介護保険でのサービス対象にはなりません。
デイケアサービスはどんな時に利用するの?
・ 利用者の病状など
腰か痛い、もっとしっかり歩きたい、転ばないような体にしたい、少しでも自分の身の回りのことは自分で出来るようにしたいというような身体機能を高める必要性を感じている利用者や、体が今以上に弱らないように体力作りをしたい人、家にいるよりも外へ出て友達を作りたいと思っている人などはデイケアサービスの利用をおすすめします。
・ 家族の思い
家族に高齢者がいるが、日中は家族が仕事などで留守にしているために、高齢者を一人でいさせるのは心配と考えていたり、高齢者が少しでも自分で自分のことが出来るようになって欲しいと考えている家族は、高齢者を含めた家族で話し合ってデイケアサービスの利用を検討しましょう。高齢者がデイケアサービスに行っている間は介護している家族は自分の時間をすごすことが出来ます。介護する家族の介護の肉体的、精神的軽減のためにデイケアサービスを利用するのも良いでしょう。
デイケアサービスのスタッフは?
デイケアサービスには、介護ヘルパーの他に、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーションの専門家がいます。理学療法士とは、主に身体機能のリハビリテーションを担当します。作業療法士は、生活機能の向上を目指したリハビリテーションを担当し、言語聴覚士は、音声機能や言語機能のリハビリテーションを担当する専門家です。
デイケアサービスの施設基準
利用者の日常生活の介護と主にリハビリテーションに力を入れた施設ですので、リハビリテーション専用室が必要です。リハビリ専用室も利用者の活動に充分な面積が決められていますし、リハビリテーションに必要な専門的な器械や器具が備わっていることが施設の設置条件です。医師の設置が義務付けられているので病院や診療所の併設施設として存在する施設も多いです。
デイケアサービスの1日の流れ
・送迎
専門のスタッフが自宅の玄関前まで利用者を約束の時間に迎えに行きます。車両への乗降の介助もしてもらえますし、車椅子のまま乗り込めるリフト機能の付いた車両など色々な種類のものがありますので安心して利用できます。
・健康チェック
デイケアサービスの施設に着くと、ゆっくりとお茶などを飲んで一服したら看護師が順番に回ってきて、利用者の健康チェックを行います。脈拍、体温、血圧などをチェックして今日のリハビリテーションのプログラムや入浴などが可能であるかどうかの判断をします。
・リハビリテーション
利用者それぞれに必要なリハビリテーションを理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が個別で行います。
・入浴
リハビリテーション後は入浴をして体を休めます。体の不自由な人が入浴することを前提にしているので浴槽も特別仕様のものがあります。入浴の介助もありますので安心して入浴できます。
・昼食
利用者にとって、同じような境遇のデイケアでの友人と摂る食事は楽しみの一つです。誤飲をしないように食べる前に口腔体操などをして安全に食事を取ります。栄養も管理されていますし、利用者が食べやすいように調理された食事です。一人で食事を取るのが難しい人は介護ヘルパーの介助もあります。施設職員たちも一緒に食事を取る場合などもありますので、和気あいあいと会話が弾み、社会性の訓練にもなります。食事後は、歯磨きなど口腔ケアも行われます。
・リハビリテーション
集団でリハビリテーションを行います。利用者みんなで行うリハビリテーションですので個別のものより個人に即したプログラムではありませんが、みんなで行うので楽しくレクリエーション的に出来ます。集団リハビリテーションの後はゆっくり休憩する人もいますが、意欲的に自主トレーニングを行いたい人は色々な専門器具を使って行うことが出来ます。
・レクリエーション
リハビリテーションを行ったあとは、囲碁や将棋、ゲームをしたり、手芸をしたり、書道、音楽やカラオケを楽しんだり様々なプログラムが用意されています。季節に合わせた行事やお誕生会などが行われる施設もあります。
・おやつ
ゆっくりとお茶やコーヒーなどを飲みながらおやつをいただきます。デイケアでの友人とのひと時を非常に楽しみにしている利用者も多いです。家でおやつをいただくのとではまた違った楽しい気分になるので認知機能の低下、社会性をはぐくむという面をもったおやつで充実しています。
・送迎
介護ヘルパーが車の乗降などを介助して車に乗り込み、自宅の玄関先まで送り届けます。
どんなリハビリテーションをするの?
デイケアサービス施設では、専用のリハビリテーション室や専門の器具などが充実していますので自宅で行う訪問リハビリテーションよりも専門的なリハビリテーションを受ける事が出来ます。サービス内容はデイケアサービス事業者によって異なりますので詳しくは利用するサービス提供事業者にお問い合わせください。
・理学療法リハビリテーション
体操や運動、マッサージ、電気刺激、温熱療法などで日常生活に必要な基本的な動作を行う機能維持、回復を行います。
・作業療法リハビリテーション
工作や手芸を行ったり、家で行う家事や日常活動に使う動作を行うことによって心身機能や社会適応性の維持、回復を行います。
・言語聴覚リハビリテーション
発声や言葉を出すことによって言語機能の維持、回復を行います。また、嚥下機能の訓練も行います。
デイケアサービスへ持っていくもの
<書類など>
・ 印鑑(初日のみ。必要な書類に捺印します)
・ 介護保険証
・ 健康保険証
・ サービス事業所との連絡帳
・ 老人保健法医療受給者証
・ 介護保険負担限度額認定証(持っている人)
<利用する日に持っていく持ち物>
・ 歯ブラシ
・ 昼食時に飲む薬
・ 紙パンツ(尿とりパット)
・ バスタオル
・ フェイスタオル
・ 着替えの下着や洋服など
デイケアサービスを受けるには?
要介護認定を受けたら、ケアマネージャーにリハビリテーションを受けたいということを伝えて、デイケアサービスの利用を検討してもらいましょう。ケアマネージャーがサービスを利用できるか確認して、デイケアサービスの提供事業者に連絡をして利用者がサービスを受ける事が出来るかどうかの確認をします。利用者の住所や介護状況によっては指定するデイケア提供事業者を利用できない場合もあります。サービス提供事業者が確定したら、その事業者から利用者の主治医に連絡が入り、利用者がリハビリテーションへ通所していいのかという確認をします。主治医の許可が下りたら、担当のケアマネージャーとサービス提供事業者の担当者と利用者、利用者の家族と一緒にケアプランを作成します。この際には、介護保険の利用限度額を考えながら週に何回デイケアサービスを利用するのか、どんなサービスを受けるのかを検討します。ケアプランが出来たらサービス事業者と正式に契約を結び利用開始します。デイケアサービスでは正式に利用する前にお試しで体験通所できる施設がありますので、一度事前に様子を見に行っても良いかもしれません。
デイケアサービスの利用料金
介護保険制度では、要介護認定においてどの程度の状態であるかという要介護度によって利用料が違います。また、利用負担割合が1割の人と所得によっては2割の人がいます。また地域によっても利用料が微妙に違ってきますので詳細をお知りになりたい場合は各デイケアサービス事業者にお問い合わせください。
(基本利用料)
<要介護1~5の人>
要介護1~5の人は通所リハビリテーションとして1日6時間以上8時間未満でサービスを受けた場合
・ 要介護1の場合、1日の単位は約700単位、1割負担の人の利用料は約800円
・ 要介護2の場合、1日の単位は約860単位、1割負担の人の利用料は約960円
・ 要介護3の場合、1日の単位は約1,000単位、1割負担の人の利用料は約1,280円
・ 要介護4の場合、1日の単位は約1,160単位、1割負担の人の利用料は約1,300円
・ 要介護5の場合、1日の単位は約1,300単位、1割負担の人の利用料は約1,450円
<要支援1,2の人>
要支援1,2の人がデイケアサービスを利用する場合、基本料金は1ヵ月単位で負担します。
・ 要支援1の場合、1ヵ月の単位は約1,800単位、1割負担の人の利用料は約2,000円
・ 要支援2の場合、1ヶ月の単位は約3,700単位、1割負担の人の利用料は約4,100円
(加算料金)
・リハビリテーション
どの程度リハビリを受けるかによって加算される点数が変ってきます。基本的なものだけだとひと月で約1,200円程度ですが、プラスしてリハビリを受ける場合はその分だけ加算されます。また、認知症のリハビリ(認知症短期集中リハビリは週2回まで)や口腔機能向上リハビリ(月2回まで)、栄養改善指導(月2回まで)、利用者が重症な場合の管理費なども料金加算されます。
・食費
昼食代とおやつ代は全額自己負担ですが、具体的な金額は利用するデイケアサービス事業者によって異なります。利用した日数分だけ負担することになります。
・入浴
入浴した日数だけ加算されます。普通の入浴で1日50円程度の費用です。
・レクリエーション費
材料代など、レクリエーションにかかった費用は全額実費で請求されます。
・おむつ代など
おむつは基本的に持参したものを使いますが、足りなくなった場合、施設のものを利用した場合も実費です。
・送迎代
施設までの送迎は基本料に含まれますが、例えば家族が事業所まで送迎をする場合などはその分だけ費用がマイナスされます。
※キャンセルする場合
体調が悪いなどの理由で予定していた場合は早めに事業者に連絡をしましょう。特に昼食などの費用は早めにキャンセルすることを申し出ていないと当日に利用しなくてもその日の食事代が請求される施設がほとんどです。
デイケアサービスとデイサービスの違い
デイサービスは介護保険サービスでは「通所介護」といい、介護保険の対象者が自宅からデイサービスの施設に1日の一定時間通って食事、入浴などの日常生活の介助やレクリエーション、人によっては選択で機能訓練を受けることのできる施設です。デイサービスは健康管理をして欲しい人、日常生活の支援が必要な人に向いています。それに対してデイケアサービスは介護保険では「通所リハビリテーション」といわれています。主に介護老人保健施設や病院などに併設されている施設に通い、主治医の指示によって理学療法、作業療法、言語聴覚療法などによるリハビリテーションを受けることを目的としています。デイケアサービスの施設には必ず医師が職員としていますので、医学的に管理して欲しい人に向いています。デイケアサービスとデイサービスとは名前は似ています。受けられる共通のサービスとして食事、入浴、機能訓練のサービスを受ける事が出来ますが、デイケアサービスはリハビリテーションが主な目的ですので、デイサービスよりも食事や入浴サービスが簡素化されています。また、デイサービスはデイケアサービスよりも入浴や食事などのサービスは充実している場合が多いですが、個人で選択できる機能訓練が少なかったり、質がデイケアサービスよりも劣る場合が多いです。目的によって使い分けることが出来るので、一週間のうち3回をデイサービス、1回をデイケアサービスという具合にカスタマイズすることが可能です。(要介護1~5の人のみ)具体的な利用頻度などは担当のケアマネージャーさんに相談してみましょう。